『玉掛け作業の安全に係るガイドライン』ナイロンスリングベルト


『玉掛け作業の安全に係るガイドライン』のポイント(1)

はじめに

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平成12年2月24日に労働省から通達された上記「玉掛け作業の安全に係るガイドライン」(本誌23頁掲載)のポイントについて説明します.
ガイドラインの目的は,クレーン,移動式クレーン,デリック等の玉掛け作業について安全上実施すべき事項及び玉掛け方法等を示すことにより,玉掛け作業における労働災害を防止することにあります.
なお,このガイドラインの背景にあるものは,玉掛け作業に起因する災害が依然として多く発生していることにあります.
クレーン等による死亡災害件数は年々減少傾向にありますが,これら死亡災害の約30%は玉掛け作業に起因したものとなっています.
更に主な原因は,玉掛け方法の不良,合図の不良及び安全確認の不良等であります.
今月号では,事業者及び関係作業者の実施すべき事項についてそのポイントを説明します.

1. 事業者が構ずべき措置

ガイドラインでは事業者は,玉掛け作業における労働災害を防止するために,以下の措置を講じることとなっています.

(1) 作業標準等の作成とその周知徹底

作業標準とは,玉掛け作業を安全に行う為に事業者が定める事業所規定ともいうべきもので,書類や看板等で明示し,関係者に周知を図る.内容は以下の事項を織込む.

(1) 玉掛けする荷の種類に応じた玉掛け作業の作業者の編成
(2) クレーン等の運転者,玉掛け者,合図者及び玉掛け補助者等の作業分担
(3) クレーン等の種類・能力及びつり荷に応じた玉掛け用具の選定基準
(4) 合図方法

(2) 作業配置の決定及び玉掛け作業責任者の指名等

玉掛けしようとする荷の質量,形状等を勘案し,作業標準及び作業計画に基づいて,関係作業者を配置し,指示・命令系統及び作業範囲等を決める.

(1) クレーン等の位置,玉掛け者,合図者及び玉掛け補助者の位置
(2) 玉掛け作業の作業者の中から「玉掛け作業責任者」の指名
(3) 「玉掛け作業責任者」に,荷の種類,質量,形状,数量及び運搬経路等の状況についての情報通知

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(3) 玉掛け作業の事前打合せと指示の周知徹底

玉掛け作業責任者に対して,玉掛け作業の関係作業者を集めて玉掛け作業の事前打合せを行わせ,以下の事項を全員に指示し周知徹底させる.

(1) 作業の概要

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イ つり荷の種類,質量,形状及び数量
ロ つり荷の運搬経路を含む作業範囲の状況
ハ 玉掛け関係作業者の配置状況

(2) 作業手順

イ 使用するクレーンの仕様と転倒防止策
ロ 玉掛け方法
ハ 合図者の位置及び合図方法の確認
ニ 他作業との連絡調整事項
ホ トラブルや事故発生等緊急時の対応策

2. 玉掛け等関係作業者の実施すべき措置

ガイドラインでは,「玉掛け作業責任者」が新しく設けられています.玉掛け等作業の安全には,玉掛け作業責任者,玉掛け者,合図者,クレーン等運転者等関係作業者の連携が極めて重要です.

(1) 「玉掛け作業責任者」が実施すること.

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玉掛け作業全般の責任者として,作業前打合せを行い,作業全体を指示し,以下の事項を実施する.

(1) 玉掛け作業の指示内容と玉掛用具の適否確認及び必要な場合の玉掛用具の変更,交換等

(2) クレーン等の据付状況,荷の運搬経路の状況確認と不具合・障害物の除去

(3) 適切な玉掛け方法の確認と不適切な場合の改善指示

(4) つり荷の落下の恐れ等不安全な場合の作業中断指示及びつり荷着地等の措置

(2) 「玉掛け者」が実施すること.
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玉掛けの実作業を行う「玉掛け者」は玉掛け作業責任者の指示に基づき,以下の事項について,自ら確認して作業する.

(1) 適正な玉掛用具の準備.

(2) つり荷の状況を確認して,適切な玉掛け方法を選定.準備した玉掛用具が合わない場合等は玉掛け作業責任者に交換を要請する.

(3) 地切り時は,安全な場所に退避して合図者へ合図を送り,つり荷の安全を確認する.不安全な場合はやり直す.

(4) 荷受けする場合は,つり荷の安全な着地場所で,まくら,歯止め等で荷が安定する措置を行う.

(3) 「合図者」が実施すること.

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合図者は,安全な場所で,合図を正しく,明確に送って,クレーン等の運転者が安心して,運転操作ができるように,以下の事項を確実に実施する.

(1) 合図する場所は,クレーン等の運転者及び玉掛け者を目で確認できる所にする.

(2) 玉掛け者や関係者の退避状況及び荷の運搬経路の安全を確認してから,クレーン等運転者に合図する.

(3) 常につり荷を監視し,運搬経路の安全を確認しながら,つり荷を誘導する.
つり荷が不安定になった場合は,即座に合図を送り,作業を中断する等の措置をする.

(4) つり荷の着地場所の安全を確認し,つり荷を着地させる.

(5) クレーン等の運転者からは,合図の復唱等で合図の確認をとるとよい.

(4) クレーン等の運転者が実施すること.

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クレーン等の運転者は,合図者の合図に従い,機械を正しく操作して,つり荷を所定の場所に運搬する.つり荷を安全に運搬するために運転者自ら以下を行う.

(1) 作業開始前に必ず点検する.また,移動式クレーンの場合には,据付地盤の状況を確認し,必要に応じて,地盤補強等の措置を要請し,必要な措置を講じた上,据え付ける.

(2) 運搬経路を含む作業範囲の状況を確認し,障害物等があれば,玉掛け作業責任者にその除去等の措置を要請する.

(3) つり荷の下に労働者が立入った場合は,直ちにクレーン操作を中断し,労働者を退避させる.

(4) つり荷の運搬中に,定格荷重を超える恐れが生じた場合は,直にクレーン操作を中断して玉掛け作業責任者に連絡し,必要な措置を講ずる.

(5) 合図は復唱して,確認するとよい.

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